保育園で調理していて「今日は失敗!」という日があると思います。
家庭料理と給食作りは基本的に必要な調理技術は変わりませんが、給食では大量の食材を扱う難しさがあります。
「料理好き!家庭では毎日お料理しています。」という人が、おいしい給食を作れるわけではありません。
家庭料理と大量調理では、調理手順も異なります。
例えば青菜のお浸し。
家庭ではゆでた後で切るのがあたりまえですが、給食ではゆでる前に切ります。
衛生管理上、最終加熱の後は包丁を入れませんよね。給食では衛生管理も必要です。
子どもの食事研究所には、4月から働き始めた給食担当者様から、いろいろなご相談を頂いています。
- 煮物が煮崩れてベタベタになってしまった。
- 衛生管理に時間がとられてしまう。
- 魚がパサパサになってしまう。
- 和え物がおいしくできない。
- 全て色が汚くなってしまう。
今回は、新米給食担当者様向けに、調理ごとに大量調理で失敗を防ぐポイントをまとめます。
■大量調理の特性を知る
【炒め物】
炒め物の失敗は、ベタベタになってしまうことですよね。
これは、食品からの放水で蒸し焼き状態になってしまうことが原因。
大量に炒める場合は、
- 材料を下ゆでしておく
- 一度に炒める量を減らす
- 強火で短時間で調理する
など、工夫します。
スチコンの場合は、170℃のコンビで炒め物を作ることができます。
【焼き】
焼き物の失敗は、出来上がった料理の乾燥です。
特に気になるのは「魚」です。
パサパサの原因は
大量に材料を入れることにより庫内温度が下がる。
↓
加熱時間が長くなる。
↓
食品が乾燥する。
オーブンの場合は、これを防ぐために、食品に霧をかけたり、焼き汁をかけるなどの工夫をします。
スチコンの場合は、蒸気を含むコンビモードで焼きます。
【揚げ物】
揚げ物の失敗は、カラッと仕上がらず、油でべタッとしてしまうこと。
油の量、火力に応じて1回に揚げる量を決め、揚げ温度を均一にすることが大切です。
【汁もの】
汁ものでの失敗は、「薄い」「濃い」ですね。
和食の汁物は複雑で奥深く、塩分量だけでなく
- だし汁のうまみ
- 香り
- 具の量
- 具の内容
これらによって違いを感じます。
具が多い程、時間とともに汁の塩分が具に浸透し、汁は薄く感じるようになります。
また、具の食材ごとに水分量に違いがあるので、最終的な汁の味にばらつきがでてしまいます。
このように複雑な「汁」をおいしく作るコツは、、、、
やっぱりおいしい「だし汁」をとることでしょう。
だし汁がおいしければ、塩分に関わらず汁も具もおいしく食べることができます。
そして、もう一つポイントとなるのは「香り」です。
- みそ汁が薄く感じる
- 今日はだしがきいていない気がする。
このような時には、提供直前に香りづけに「しょうゆ」」を加えましょう。
おいしく感じることができます。
【煮物】
煮物の失敗は、煮崩れです。
煮崩れの原因は
- 材料に均一な味をつけるために攪拌した際に煮崩れてしまう。
- 余熱で火が入り過ぎて煮崩れてしまう。
防ぐためには、
- 調味料を先に加えて煮汁の量を増やす。
- 余熱を考慮して加熱時間を短縮する。
(8分通りの煮えたところで消火)
これらの工夫で煮くずれを防ぎます。
【和え物】
和え物の失敗の原因は2つあります。
- 野菜をゆで過ぎ
- 和えてから食べるまでの時間が長い
野菜をゆで過ぎると
- 色が悪くなってしまう
- 水っぽくなってしまう
多くの方が失敗した経験があると思います。
ゆで過ぎの野菜をしぼると、野菜の量がびっくりするくらい減ってしまいますよね。
量が減ってしまうのが困る!ということで、しっかりしぼらないと、調味した時に水っぽくなってしまいます。
2つ目の原因は、和えてから食べるまでの時間が長く、水っぽくなってしまうこと。
基本的には配膳の直前に和えるべきものですが、
調理の工程として難しい場合は、
煮浸し風にしたり、材料を下煮したものを和えたりする工夫も必要です。
Categorised in: 調理と理論(レシピ)