2022年2月10日 10:17 am
今回は、魚のアニサキス食中毒について、新しい知見をお伝えします。 2017年に都内飲食店で養殖のマサバが原因食品と疑われるアニサキス食中毒が発生しました。これまでは、養殖であればアニサキス食中毒は発生しないと考えられていました。 魚は加熱することでたんぱく質が固くなり、子どもにとって咀嚼しにくくなります。そのため、「養殖の魚」であれば、生、または加熱が不十分でも子どもに食べさせてもよいと考える家庭があります。しかし、これは健康被害に関連するおそれがあります。   ■新しくわかったこと アニサキス食中毒は、天然のさば、いわし、さんま等、天然魚に限って発生するとおもわれていましたが、2017年に国内で初めて養殖の「マサバ」によりアニサキス食中毒が確認されました。 また、日本から中国に輸出された養殖魚(マダイ・シマアジ・マアジ)において、アニサキスが検出された旨の通報が中国側からあったとのことです。 https://www.nishi.or.jp/jigyoshajoho/shokuhinkanrenjoho/kanrentsuchi/tsuchi-r1.files/010906betten-anisakisu.pdf その後、国内で関連した実態調査が行われ、令和3年度の全国食品衛生監視員研修会で、下記の内容が発表されました。 市販養殖マサバ14品目中、9品目からアニサキスが検出 「養殖であればアニサキスはいない」という認識は誤りであることがわかりました。 私自身、魚屋さんに「これは養殖だからアニサキスの心配はないよ!」と言われたことがありますが、これは間違いだったということです。   ■アニサキス食中毒とは 【原因】 アニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生、または不十分な冷凍や加熱で食べることで起こる食中毒です。食中毒はアニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こします。 【治療】 効果的な治療薬はないため、胃アニサキス章では胃内視鏡で虫体を摘出。腸アニサキス症では、場合によっては外科的処置が施されます。 【予防】 予防としては、-20度で24時間冷凍するか、70度以上、もしくわ60度の場合は1分加熱することで死滅させることができます。 子どもはいずれにしても加熱が必須。給食では必ず75度で1分間以上の加熱が行われるので、アニサキス食中毒の心配はないということになります。 厚生労働省:アニサキスによる食中毒を予防しましょう https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html     ■さいごに 生食ができる「魚」が、度々食中毒の原因として取り上げられますが、実際には魚に限らず、食べ物には食中毒のリスクがつきものです。 家庭に伝える際には、保護者が「魚」を過度に危険だと思い、敬遠することがないように、「鮮度の重要性」「加熱の重要性」をお伝えしていただきたいと思います。

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