“多彩な食育活動には
ヒントがたくさん職員も繋がり、
子どもと一緒に成長できる!

Vol.14 こころキッズ

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多彩な食育活動にはヒントがたくさん職員も繋がり、子どもと一緒に成長できる!

新園の立ち上げに数多く携わった園長先生が、それまでの経験を生かして形にした横浜市認可保育園「こころキッズ」。園の中心に「食」を据えて、地域と連携しながら豊かな食体験、食育の機会を積極的につくり、子どもと職員の成長につなげています。園長先生の思いを職員一人ひとりが受け取り、自分の役割を果たしながらワンチームとなって前進する姿には、たくさんのヒントが詰まっていました。日常の取り組みから定期的なイベントまで、実践的な食育をぜひ参考にしてくださいね。(わんぱく子どもの食事研究所所長 佐橋ゆかり)

訪問したのは…

施設名

こころキッズ

所在地

神奈川県横浜市神奈川区片倉5-26-24 

URL

https://kk-kokoro.com

 1〜5歳児を対象とする横浜市認可保育園「こころキッズ」は、2021年4月に開園し、定員は58人(1歳児 8人、2歳児 8人、3〜5歳児 各14人)。「輝く生命(いのち)を明るい未来へ繋げる」を保育理念に、一人ひとりの子どもを大切にし、保護者、地域とともに愛情に満ちた環境で、温かく家庭的な保育を実践します。また、「未来あるこどもたち一人ひとりが、自分らしく生き生きと心から楽しんだり、取り組んだりすることができる人生を歩んでほしい」という願いから、そのための土台形成を、体験保育、食育、第二の家庭環境、礼儀、愛情表現を大切にすることで育んでいます。
 

給食・食育へのこだわり

  • 自園の管理栄養士による野菜中心の献立
  • 野菜は、地産地消・三枝農園の新鮮野菜を使用
  • 和食中心のだしや素材を生かしたやさしい味
  • 地域の森喜鮮魚店の魚献立を週2回実施
  • アレルギーに対応したメニューを用意
  • 朝日加工のメラミン樹脂「もりもりベアー」を使用

保育園で一番重要なのは「食」
キーマンは給食担当者

 もともと幼稚園の先生だった「こころキッズ」の園長藪本先生。結婚後、3人の子育てのために退職し、約10年間の専業主婦ののち復職。その後、保育園の新園の立ち上げに複数携わる中で、株式会社コイシカワに出会いました。これまでの経験を生かし、「こころキッズ」の開園にむけて準備段階から関わり、ゼロの状態から形にして、2021年4月に園を開園。今年の春で3年目を迎えます。
 「私は、保育園の中で一番重要なのは『食』だと考えています。生活の中で、おなかのすくリズムをつくり、おなかがすく感覚を大切にしています。そして、食を通して、先生も子どもと一緒に体験できる、共に学べる環境づくりを目指しています。そのためには、まず、園長や主任といった管理者が、食を担う栄養士、調理担当者の仕事を理解し、仲良くなることが大切だと思っています」

「栄養士と保育士は子どもに対して、接し方は異なりますがお互い成長できる環境をつくりたいです」(園長・籔本由美先生)

保育室から覗ける給食室の様子

給食室と保育士の隔たりを取り払う

開園に先立ち、園長先生は、管理栄養士の安田先生と仲良くなるために、多くの時間を使ったそうです。「栄養士は優秀な方が多いのに、脚光を浴びる機会が少なく、どうしても中心は保育士になります。私は、お互いに歩み寄れるように、『栄養士の先生に活躍してもらう場をつくり、大切な存在だ』ということを保育士に伝えることを心がけています。また、給食室に対しては、保育の内容や意図が伝わるように、給食室の皆さんの気持ちを聞き、対話を重ねます。これは、食を中心に保育を進める上で、とても大切なことだと思っています。職員全員が『子どもたちに給食をおいしく食べてほしい』と思っているのに、保育士と給食室の間に隔たりができてしまうことってよくあるんです。時間までに給食をつくることだけが目標になってしまうと、子どもに目をむけることができず、それが残食につながってしまいます」
 園の設計から携わった園長先生は、給食室と保育室の距離にも配慮し、保育室と給食室の間には廊下をつくりませんでした。「壁一枚隔てるだけで遠い存在にならないように意識しました。いつでも保育室から給食室が見えて、いい匂いがしてきます。心を尽くして給食をつくってくれる栄養士、調理担当と、子どもたちの成長を育む保育士が共通の思いを持つことが大切だと思っています」

おなかがすく感覚を大切に!
子どもに合わせた「給食開始時間」

「こころキッズ」の給食は、旬の食材を使い、和食中心のだしや素材を生かしたやさしい味付けが特徴です。先生からも「おいしい!」と評判で、3、4、5歳はほとんど残食がありません。おいしく提供するための努力は惜しみませんが、最も大切にしているのは、子どもたちがおなかがすいてから食べることができるよう、思いっきり遊ばせてあげることです。
 「おなかがすいてから食べることを基本にすれば、残食はなくなります。そのために、給食の時間は10分、20分の調整が必要となってきますが、大変ながらも職員同士で連携しながら、しっかりやってくれています。『保育所における食育に関する指針』(厚生労働省)では、食育推進のために職員との連携について言及されています。子どもに合わせて、給食やおやつの時間を調整するためには、『子どものおなかがすくリズム』について理解してもらうことが大切です」と藪本先生。
 取材日に、未満児さんが公園から元気に戻ってきたのは、11時過ぎ。そこから着替え、トイレ、手洗いを済ませてから給食が始まります。「今日はお魚だよー」という保育士さんの声に、「みそ汁ある?」と聞く子どもたち。充分に公園で遊んで、おなかがをすかせた子どもたちは、給食をしっかり食べることができていました。

地域の理解と協力があってこそ
新鮮な食材で、喜ばれる給食ができる

管理栄養士として献立の工夫を重ねる管理栄養士の安田麻子先生。和食中心の献立で、だしや素材を生かしたやさしい味に仕上げるため、野菜をふんだんに、魚も積極的に取り入れています。
 「野菜は園のすぐ近くにある『三枝(さえぐさ)農園』の、採れたての野菜を使っています。新鮮な野菜は栄養価が高く、とにかくおいしいので、おかわりをほしがる子どもは多いです。ブロッコリーはみんな大好きです。ブロッコリーに、自分たちで収穫してつくったニンジンドレッシングをかけて食べた時は、取り合いになりました(笑)。小松菜とあげの煮浸しや、ナスの味噌汁も大好きですね。
 魚は地元の『森喜鮮魚店』にお願いして、園児用に骨抜きした鮮度抜群の魚を週2回納入してもらっています。今日のカジキの竜田焼きも大好評でした。 旬の食材は天候等に左右されるので、発注は、何があるか聞いてから行っています。事前に予定していた献立を変更することは多いですが、調理担当の方々が柔軟に対応してくれます。キャベツが続くようなこともありますが、やはり旬の食材はおいしいですから、不満が出るようなことはありません。子どもたちのためにと、手間ひまをかけて準備してくれる地域の方々のおかげで、今の給食ができています。園長先生の思いが皆さんに通じて、この仕組みができました。旬を味わえる子どもたちは本当に幸せだと思います」

子どもが給食を完食した後の一言
「ピッカリン」を聞けるのがやりがい

 保育士の先生たちは、子どもたちが給食を残さず食べ終わると、ピカピカのお皿を見て「ピッカリン」と声をかけるのだそう。
 「毎日、今日は食べてくれたかなと心配になりますが、保育士の先生が私たちに『今日も子どもたちはピッカリンしたよ、おいしかったよ』と伝えてくれることが一番うれしい」と安田先生は話します。

安田先生と子どもたち

みんなでいただきます!

食育は、先生も一緒に体験!

 「こころキッズ」は、通常の保育の中で、農業体験、食育イベント(クッキング)、茶道などが行われており、子どもだけでなく先生も一緒に学んでいます。様々な体験を通して、子どもの「食を営む力」を育むと同時に、先生たちが学ぶ場としても活用されています。
 「先生たちには、自分の役割に専念し、スキルアップしてほしいと考えています。しかし、聞くだけの研修などは役に立たないものも多いです。そこで、プロの講師によるレッスンで、先生たちも研修を兼ねて参加してもらうようにしています。間近にいる子どもたちの姿を面白がることが学びであり、先生の醍醐味で、スキルアップにつながるはずです。『食』を通して学べることはたくさんあります。食べることは毎日のことです。こんなにいいものを教材として使わない手はありません。子どもと一緒に先生が体験を重ねることで、子どもの力を感じ、自分たちの仕事に対する誇りも感じてほしいですね」。籔本先生に、食育活動の一例を教えてもらいました。

むっくふぅど/キッズフードアドベンチャー
にんじん蒸しケーキが蒸し上がる時間を利用して松本珠希先生による「にんじん」についてのクイズ大会です。にんじん博士になります!

食育事例1
プロと一緒に先生もアイデアを出すオリジナル!の生きた食育イベント

 神奈川を拠点に、食育イベントを実施する「むっくふぅど/キッズフードアドベンチャー」と、2カ月に1回の頻度でイベントを実施しています。調理体験などを行い、猛暑だった今年は「健康ふりかけ」づくりを行いました。子どもたちのご飯が進まなくなり、良い方法はないかと考えた結果です。材料は市販の鰹節、ゴマ、青のり、昆布茶、煮干しの粉を用意し、アイススプーンを使って、カップに自分の好みの材料を選んで混ぜるだけ。味見しながら、オリジナルふりかけをつくります。すると、ご飯もあっという間になくなりました。市販の材料で簡単にできるので、保護者向けに、実物を並べて紹介しました。実際に、家族で楽しんだという声がたくさんありました。このようにプロの方々にヒントをもらい、先生たちもアイデアを出すことで、生きた食育ができます。

食育事例2
「旬とは?」が理解できる日本文化に触れる茶道教室

1カ月に1回(8月を除く)、大日本茶道学会・晝間先生の指導による茶道教室を行っています。目的は、日本の文化を体験すること、基本的な礼儀を習得すること、思いやりのこころ・感謝の気持ちを養うことなど。先生が季節の掛け軸と花を飾った空間でお抹茶をいただき、日本文化に触れて親しみます。子どもたちは、日本の四季、文化に触れることで、旬も理解できるようになります。
 また、抹茶で「苦味」を知り、和三盆のお菓子を食べると味が変わることの体験を通して、味覚も豊かになります。苦い食べ物を口にした時に、1人の子が「これ!苦い!」というと、他の子も続いて口にし「苦い!苦い!」と言いながら食べるんです。茶道教室での体験を通して味覚が育まれていることを実感します。

正座でお茶をたてる子どもたち。抹茶の香りと苦味を楽しみます。

食育事例3
農園に行くのが楽しみ!学びの宝庫

 三枝農園の畑を舞台に、子どもたちは五感を使って、収穫体験などの活動を行っています。最初は畑に入るのもうまくできませんが、経験を重ねると、どう歩けばいいのか、にんじんはどうやって収穫するのかなど、年下の子たちに教えられるようになります。年長さんは、新任の保育士に指導をするほどです(笑)。
 農園に通い続けることで、「野菜は台風で倒れたり、天候によってうまく育たなかったり、つくることは大変なんだ」と、子どもながらに感じています。農園に行くことができない低年齢児の子どもは、収穫してきた野菜を見て、触れて親しみます。時には家庭に持ち帰ることもあります。じゃが芋を1人1個持ち帰るとなった時、子どもたちは時間をかけてじっくり選びます。大人から見ると、何を基準にしているかわかりませんが、一つひとつ手に持って、触って眺めて選ぶんです。きっと、その日の家庭の食卓では、じゃが芋が話題にあがっていると思いますよ(笑)。
 農園がすぐ近くにある環境で、子どもたちは貴重な体験ができています。保育士にとっても学びの場となっています。3歳から5歳児は、自分たちで収穫した野菜で料理をしたり、絵を書いたりしています。収穫した野菜から、子どもたちはたくさんの事を学んでいます。

これからにんじんの収穫です。にんじんの葉っぱってこんな風に生えているんだね。力いっぱい引っ張ってもにんじんはなかなか抜けません。抜けた時のうれしさに笑顔がこぼれます。

食育事例4
「梅ジュース」の材料を買いに!苦労の先にあるおいしさを実感

梅の時期は、ジュースをつくるために、買い出しから行います。1年目は、私が自転車に荷物をいっぱい積んで帰ってくる姿を、子どもたちは面白がって見ていました。2年目からは、材料を園児と一緒に買いに行っています。子どもたちがリュックを背負って、梅、氷砂糖を買って帰ってくるのです。おいしいものを食べるのは、苦労もありますが、それは食べることによって消化されます。次もやってみようという学びや、楽しみや喜びにつながっていきます。
 以前、売り場に氷砂糖がなく、子どもたちの悲しそうな顔を見て、スーパーのお兄さんが倉庫を探し回ってくれたことがありました。お兄さんが見つけてくれて「ありました!」という言葉に、子どもたちは大喜び! あの時の子どもたちの笑顔は忘れられません。

梅ジュースづくりでは、毎日、氷砂糖が溶けていく様子を観察。最後は、子どもが梅を取り出し、給食室で加熱してからいただきます。

育事例5
バイキングスタイル自分を知るきっかけに

 年度の後半は、5歳児の給食をバイキングのスタイルにします。時期は、その年によってまちまち。子どもたちの様子を見て、スタートします。
 バイキング給食では、最初は食べ過ぎてしまう子もいます。保護者には「今日は、うれしくって食べすぎちゃったみたいだから、気にしていてあげてね」と声をかけます。子どもたちはうれしくていっぱいお皿に入れますが、食べられる量は限られていて、食べ過ぎるとおなかが痛くなってしまいます。自分で「この前3つ食べておなかが痛くなったから、今日は1つにしようかな」と考えられ、自分を知る、食べることの適量を知る機会にもなります。自分の体について、体験して、考えながら、自分にあった量を見つけることにつながっています。
 また、バイキング給食では、その日の子どもの体調を把握することができます。いつもより、食べられないと先生は体調が悪いのかなと心配し、調理と保育の共通の話題になります。給食が食べられなかった後で、発病することはよくあることです。子どもも保育士も、自分の体と向き合いながら食事ができるようになることが大切だと思います。

バイキングスタイル
子どもたちは大好きな調理の先生方が心を込めて作ってくれた「雪だるまおにぎり」などのイベント給食に大興奮!こぼさないように一つひとつ丁寧に自分のお皿に盛り付けていきます。

限られた環境の中でも諦めないで
何かできることはあります!

 食育を幅広く捉えて、動機づけから成果まで、みんなで共有し、次に生かし、結果的に残食をなくしている「こころキッズ」。目の前の残食は改善の良いきっかけだととらえて、職員全員がワンチームとなって先を見ながら取り組めているところです。それには藪本先生のリーダーシップによるところが大きいですが、藪本先生は「どんな環境でもできることはあるから諦めないで!」と、以下のメッセージをくれました。
 「外国産の冷凍野菜で機械的に給食をつくる園にいたことがあります。野菜の一部でも八百屋さんから直接仕入れられないか、業者のカタログに何かほかにいいものはないのか、今の環境でどんなことだったらできるのか、小さな積み重ねをやっていたら、調理の先生が見ていてくれて、『私たちもがんばります』と言ってくれたことがありました。それぞれの事情がある中でも、子どもたちのためにできることは必ずあります。園長先生に給食費を抑えるように言われたら、八百屋で曲がったキュウリを買ってくるとか、次はどうしよう?という中に楽しみを見いだせます。私も苦しんだ経験があり、そこから生まれること、身になることは多いのです。どんな環境でも、毎日ある食でつなげていけることがあり、食は教材の宝庫です。
食は人生において、人間にとっての大切な営みです。そこが楽しめれば、勉強も運動も楽しくなる。アイデアや発想につながる。いろいろなものにパッと手が出る。何にでも挑戦できることにつながっていけるんでしょうね。諦めないでほしいです。一人じゃ無理だと思ったら、他の職員と協力してください。大切なのは、保育士と栄養士、調理の先生が、仲良くなること。『子どもたちに給食をおいしく食べてほしい』という目標を共有することです。共につくろうと思うと力が湧いてきます。苦労したことは忘れないし、楽しみになっていきますよ。それと、私は食育指針を常に持ち歩いています。それに立ち返るのも大事だと思っています」

生産者さんの畑を訪れました

紹介してもらい、たどり着いた
「三枝農園」との素敵な出会い

新横浜駅から地下鉄で3駅のこのエリアは、まちづくり計画で開発が進む一方、代々続く農家さんが頑張っています。園長先生は、立ち上げの準備段階で、新鮮な野菜を地域の農家さんから納入できないか、JAグループの農産物直売所に相談しました。複数の農家さんを紹介してもらい、協力してくれたのが「三枝農園」の三枝さん夫婦でした。
 園から徒歩圏内で、園児は三枝さんの仕事が落ち着く午後2時ごろ、この畑にしょっちゅう出かけるのだそう。どこで何を育てているかをよく知っていて、土を触ったり、野菜が育つのを見たり、収穫体験をしたり。畑を通して五感で感じる活動ができています。

Q:子どもたちとの畑での交流を通して、思うことは?


普通に野菜をつくっているだけでは体験できないこと。何より子どもたちが楽しんでいるからうれしいです。自分の子どもにとって畑は身近で当たり前だけれど、周りの子どもたちには特別なことなのだと感じます。畑に足を踏み入れたり、野菜を触ったり、土と触れ合うことは子どもたちにいいことなのかなと。収穫体験は人参や大根、芋掘りなどをしています。


Q:保育園に野菜を納入していてよかったと思うところ、伝えたいことは?


最初に話があった時には、自分の子どもも小さかったので、園の役に立てたらと思いました。今は、ほんとうに「おいしい!」と、喜んでもらえるのがうれしいです。農作業で間引いた野菜、いわゆるロス野菜を、園で活用してもらえるのもうれしいです。
 伝えたいことは、野菜本来のおいしさです。今は、大人も含めて、旬を知らない人が多いんです。本来、冬であれば大根、キャベツ、白菜、ねぎ。季節によってこの畑でつくることができる野菜は限られているんだよ、というのも知ってもらえたらと思います。そして、何より旬の新鮮な野菜のおいしさを、食べて感じてほしいです。

三枝農園では年2回、「じゃが芋ほり」を行います。年長の子どもたちは大ベテラン! 慣れた手つきでひとつも残さずに見事に掘っていきます。年中のお友だちに教えてあげながら一緒に収穫します。

毎年、5月上旬に三枝さんと一緒に保育園のプランターにいろいろな野菜の苗を植えます。野菜が育った時のために支柱を土にさします。苗と支柱を結ぶやり方も教えてもらいました。今年はピーマン、なす、枝豆、ミニトマトが大豊作! たくさん収穫できました。

魚屋さんのお店を訪れました

園への納入経験があり心強い!
散歩の途中で見つけた「森喜鮮魚店」

 多くの園では、冷凍の魚を使うことが多く、冷凍の魚の献立を食べた子どもは「おいしくない」と言い、残食が増えると聞きます。おいしい魚献立をつくるのが難しくなっている今、「こころキッズでは、散歩の途中で見つけた地域の魚屋さん「森喜鮮魚店」に、園への納入をお願いし、週2回の魚献立が実現しています。
 地元で愛されるこのお店は、2代目と3代目が店頭に立ち、幅広い世代の人が訪れます。子どもたちが魚の給食を喜ぶので、園児の保護者も買いにきて、自宅でも魚を食べるきっかけとなっています。魚離れが進む中、理想の形が生まれています。2代目の平賀貴明(まさあき)さんに、話を聞きました。

Q:前日、園児1人分にさばいて、骨抜きした魚を納入するそうですが、手間ではないですか?


私の店では他の保育園に、40年前から納入しているので、骨を抜くなどの手間は問題ありません。園には協力してもらって、各園の納品日を決めてもらい、作業が集中しないように工夫しています。


園では魚料理が人気とのこと。納品する際に配慮していることはありますか?


 私たちも保育園に魚を納めることができ、うれしく思っています。子どもたちにはできるだけ生のおいしい魚を食べてほしいのですが、問題は魚の値段が高いことと、温暖化による影響で海水温が高くなり、日本近海でとれる魚は少なくなっていることです。海水温が高くなると、魚は冷たいところへ行ってしまいます。小田原でよくとれていたブリは、今、北海道でとれます。サワラも北海道でとれるようになりました。気候の影響を受けて、魚が遠くの海へ行ってしまうと、プランクトンが少ないので、栄養が足りずに魚の脂が乗ってきません。やっぱりカジキでもなんでも、脂が乗った旬の生魚がおいしいですよ。園児向けだと一尾40〜50gで、サーモンは150〜160円くらい。アジだと100円くらいでしょうか。魚の値段が高くなるのは、頭や骨を除き、食べる身が半分になるから。全部おろすと歩留まり半分で、どうしても高くなります。これこそ保育園の理解があってできています。子どもたちに旬の魚の味を知ってほしいですし、これからも工夫しながら、安くて、おいしい魚を園に届けたいですね。

魚は切り身しか見たことがなく、魚屋さんに行ったことがない先生もいます。特別なイベントに限らず、散歩で魚屋さんに行き、見るもの、聞くこと全てが学びになりますね(藪本先生)

2023年12月15日の献立は、ご飯、そうめん汁、魚の竜田焼き、ひじきの五目煮、りんご 子どもたちは、魚料理が大好き!この日も喜んで食べてくれましたよ。(栄養士安田先生)

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