2022年12月15日 10:00 am

 

保育園給食でミートローフによる食中毒の記事がありました。今回は食中毒事故事例をとりあげ、食品衛生の勉強をしたいと思います。

 

1 食中毒の概要

 

2022年11月3日、千葉県は保育園の給食を食べた園児15人と職員13人の計28人が下痢などの症状を訴え、そのうち16人から食中毒菌のカンピロバクターが検出されたことを発表しました。

 

【原因食物】

当日のメニューは「鶏肉のミートローフ」と「ほうれん草のお浸し」。

 

【原因菌】

原因菌は鶏肉に付着していたカンピロバクター。

そして、食中毒の原因は、

    • 「ミートローフ」の加熱不足
    • ゆでた後のほうれん草に、菌が付着(2次汚染)

のいずれかだと考えられています。

 

【菌の特徴】

カンピロバクターは、近年、食中毒発生数ワースト1の細菌です。鶏、牛、豚などの家畜の腸管にいる菌で、処理の過程で肉の表面に付着してしまうため、流通している鶏肉からも高い確率で検出されます。特徴としては、鶏肉の鮮度とは関係なく、少量の菌数でも食中毒を引き起こします。

 

「鶏肉のミートローフ」については、2020年10月に学校給食で中心部まで十分に火が通っていなくて食中毒が起きています。この時の原因は、ミートローフの大きさと、スチコンでの加熱温度、時間が合っていなかったとのことです。

 

2 カンピロバクター食中毒の予防

 

一般的には

  • しっかり加熱
  • 包丁、まな板、器具の洗浄。
  • 鶏肉を触った後には手をしっかり洗う。
  • 調理時には専用の箸などを使う。

と言われています。

 

集団給食ではいうならば、まな板や器具を用途ごとに使い分け、作業ごとの手袋の使用、衛生区域(非衛生区域)を明確するなどの衛生管理を徹底し、加熱は中心温度75℃1分間以上を厳守!ということになります。

 

3 ミートローフ特有のリスクを知っておこう

 

食中毒のリスクの大きさは、料理ごとに異なります。ハンバーグとミートローフの材料はほぼ同じですが、、、、

  • 形状が違う → 中心温度が上がりにくい
  • 焼いてから切る →2次汚染のリスクがある

ミートローフはハンバーグに比べ、格段に食中毒リスクが上がります。ミートローフの場合、研究所でスチームコンベクションオーブンを使用している場合でも中心温度にばらつきが出てしまうことがあります。

 

原因は、ほとんどの場合、少し大きめに成型ししたとき。大きさのバラツキが大きくなり、中心まで加熱できないものができるリスクがあがります。バラツキをなくし、品質を均質化していく努力はどんなものづくりでもとても大切です。

 

4 さいごに

 

こうして書くと研究所は完璧!という印象ですが、研究所でも先日ミートローフの中心温度を3点測定したら1点75℃に上がっていない場所がありました。やっぱり少し大きめに成形した部分でした。

 

食中毒は、毎日の衛生管理を徹底することともに、事例を知り、活かすこと。それと念のため中心温度を必ず測るという作業を忘れないことです。万が一のときの助けになります。

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