2023年8月18日 11:47 am

今回は、2023年6月、7月に発生した2件のカンピロバクター食中毒についてお伝えします。実際に起こった事例を確認し、自園の衛生管理を見直してみましょう。

■食中毒事例

▼高知市で起きた食中毒

発症日時:7月22日~25日
主症状:下痢、発熱
発症者:58名(園児54名・職員4名、内受診者46名)
原因食物:鶏肉を使った「照り焼きハンバーグ」「ささみ和え」を原因食物として調査
原因物質:カンピロバクター・ジェジュニ
行政措置:8月1日から3日間の業務停止

▼京都市で起きた食中毒

発症日時:6月26日~7月2日
主症状:下痢、嘔吐、発熱
発症者:16名(内園児7名)、調査ができた人
原因食物:鶏肉を使った「鶏の香味焼き」を原因食物として調査
原因物質:カンピロバクター・ジェジュニ
行政措置:7月8日から3日間の業務停止

 

■「カンピロバクター・ジェジュニ」への対策

この菌に対する予防では、

  • 鶏肉の十分な加熱(必要な場合は冷却)
  • 鶏肉由来のカンピロバクターの2次汚染の防止

が重要です。

HACCPに添った衛生管理でいうと、重要管理点は「加熱」であり、中心温度(75℃1分間)と調理開始・終了時刻を記録し、管理するということになります。また、鶏のささみを使った和え物では、加熱後に短時間で温度を下げる必要があります。

そして、一般衛生管理では「2次汚染の防止対策」が重要です。細菌やウイルスは目にはみえないので、2次汚染防止では、調理工程の各段階での徹底した衛生管理が求められます。

 

  1. 調理器具を介した二次汚染 原材料→器具→食品
  2. 従業員の手指を介した二次汚染 原材料→手指→食品
  3. 器具の使いまわしなどによる調理器具を介した三次汚染 食品→器具→食品

保育園の食中毒予防対策では、5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)を基本とし、

  • 「一般衛生管理」
  • 「HACCPの調理工程に応じた衛生管理」

を徹底することが重要です。

 

■温度管理にはスチコン・急速冷却機の導入が効果的

近年は、特に夏の暑さが厳しく、現場のみなさんは「温度管理」に難しさを感じている方が多いようです。今回の食中毒を見ても、みなさんが、真っ先に気になるのは「温度管理」ではないでしょうか。

「焼き物など全員分を焼き終えるのに時間がかかり、実際に提供するまでの時間が長くなってしまう」「加熱後に危険温度帯から適切な温度に下げることが難しい」といったことが起こっている場合には、必要な機器を揃えることも必要かもしれません。

 

  • ブラストチラー(急速冷却器)
  • 中心温度計付スチームコンベクションオーブン

ただ、ブラストチラーやスチコンが導入されたら衛生管理や5Sは甘くなってもいいということにはなりません。やはり徹底した衛生管理や工程管理があってこその急速冷却機。工程をシンプルにすることによって安全性が高まります。

献立や調理工程を見直していく中で機器の導入を進めることが栄養管理や衛生管理などのコスト削減、作業の安全性の向上、ひいては給食の生産性の向上にとって効果的です。

 

■さいごに

まずは、衛生管理で求められている記録を正しくとって、現状を「見える化」しましょう。現状が安全なのか、危険があるのかを見える化し、園の問題として改善していくことが大切だと思います。

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