2024年3月14日 10:01 am

先日、栄養士の友人から、家族5人が下痢をして大変だった!という話を聞きました。

1歳児と3歳児はおむつ、5歳児はトイレトレーニング用おまるを使い、大人2人が交互にトイレに行くといった感じで乗り切ったそうです。

友人の話では、下痢の原因は、温め直して食べた「カレー」とのこと。カレーと言えば、給食の食中毒でもよくあるウエルシュ菌食中毒です。

■ウエルシュ菌食中毒とは

ウエルシュ菌は、広く自然界に生息している細菌で、特に牛、鶏、魚が保菌しています。菌は、加熱で増殖をはじめ、その後、大量に増えた菌を人が食べることによって食中毒が起こります。

事件数は、年間20~40件ほどで、それほど多くはありませんが、1件あたりの患者数が多いことから、給食では馴染みがある食中毒です。

発生場所は、給食施設や仕出し弁当、旅館など。原因食品は、カレー、スープ、肉団子などです。ウエルシュ菌は、空気が嫌いな細菌のため、粘性の高い煮込み料理を作った際に、酸素の少ない鍋底近くで増殖すると言われています。

令和5年の厚生労働省の食中毒発生事例をみると、事件数は25件、患者数は1029人。原因食品はカレー、肉じゃが、じゃがいものそぼろ煮、ポトフなど。「じゃがいも」を使った料理が目立ちます。

■じゃがいもに関連する食中毒が多い理由

ウエルシュ菌の特徴は、酸素がないところで増殖する点です。

じゃがいもは澱粉を多く含むため、煮るとそれが糊化して、とろみが出ます。そのため、酸素濃度が低い状態となり、菌が増殖しやすい環境がつくられます。

酸素がない状態で加熱することで菌が増え、その後、冷めにくい状態が続くため、さらに菌が増えてしまうということです。

過去の事例からみても、じゃがいもの煮込み料理は、ウエルシュ菌食中毒の「ハイリスクメニュー」といえます。

■ウエルシュ菌食中毒予防

食中毒の予防の鉄則は、やはり加熱です。ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅。肉、魚、野菜も75℃1分間以上の加熱をすれば安心です。

ただし、ウエルシュ菌の場合は、一度芽胞を作ってしまうと、加熱しても死滅しないことから、調理後は早めに食べきることが大切です。

給食では、「2時間以内に喫食する」ということを守れば、問題ありません。

家庭ですぐに食べることができない場合は、小分けにするなど工夫して、素早く冷やして、冷蔵庫に保存(10℃以下)する必要があります。

カレーライスは、子どものいる家庭の定番料理。正しい知識を家庭に伝える必要性を感じます。

ちなみに、下痢症状がひどかった5歳児さんは後日、保育園で提供された「カレーライス」を食べなかったそうです。嫌な記憶と食べ物が結びついてしまったのでしょう。

保育園では、食べることには危険があることを常に念頭に置き、それを保護者と共有しながら、子どもたちが安全でおいしく食べられる食事づくりができたら良いと思います。

Categorised in:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA