給食の食材は「当日納品・当日消費」が基本。保健所からは「基本的には残ったものは捨ててください。」と言われています。
しかし、実際には・・・
必要分をきっちり購入して、無駄なく使いきることって難しいですよね。
今回は、食材の保管に関する衛生管理について考えます。
■常温保存が可能な加工食品について
マニュアルには、缶詰、乾物、調味料など常温保存可能なものを除き、食肉類、魚介類、野菜類等の生鮮食品については「1回で使い切る量を調理当日に仕入れるようにすること」という記載があります。
つまり、常温品は「当日消費」には該当しません。
常温品と言えば、
- 片栗粉や小麦粉などの穀類加工品
- 砂糖
- しょうゆなどの調味料
- 油
- ひじき・わかめ・こんぶ・鰹節・ごまなどの乾物
- 缶詰
- せんべいなどの菓子
その中で、みなさんからよく質問をいただくのがお菓子です。
わんぱくランチユーザーから「保健所に聞いたら、当日消費が基本!と言われた。未満児のお菓子は一度に使いきれない。どうしたらよい?」という問い合わせをいただきました。
保健所の担当者が、当日消費!といった理由は、、、
様々な包装形態(大袋・個包装)があるお菓子について、限定的に答えることに危険性がある。また、質問をしてきた園の「5S」が正しく機能しているか、わからないからでしょう。
5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「習慣」の頭文字の「S」を示しています。
整理→不要なものを撤去する
整頓→置く場所を決め、管理する
清掃→汚れがない状況にする
清潔→きれいな状態を保つ
習慣→ルールを決めてルール通りに実行することを習慣化する
例えば、お菓子であれば、
- 納品時の検収で品質確認(記録)
- 5Sを徹底(記録)
- 蓋つき容器で保管
- 保管期限(2週間・1か月)を決めて管理(記録)
- 提供する前に検食で、湿ったり、味が劣化していないかなどを確認(記録)
といったことができていれば、問題がないはずです。
ただし、お菓子の場合は加熱で菌をやっつけることができないので、食品に手で直接触れることができる状態のものはこれに該当しません。
常に、二次汚染を想定した基準を持つことが大切。菌のつくのをどう防ぐのか!菌をやっつけるタイミングあるのか!という点で見極めることが大切です。
■未開封の冷蔵品について
そして、急な風邪の流行などで、ありがちなのが「牛乳」の残り。牛乳屋さんが納品時に、引き取ってくれると良いのですが、実際には納品時間との兼ね合いがあり、うまくいかないようです。
では、どうすればよいでしょうか?
前提として、
- 冷蔵車での納品
- 牛乳の品温、破れがないかなどの確認(記録)
- 5Sの徹底(記録)
- 生鮮食品(肉・魚)を入れるものとは違う冷蔵庫に保管(記録)
- 冷蔵庫の温度を確認(記録)
- 提供する前に検食で味を確認(記録)
がきちんとできており、未開封で賞味期限内であれば、廃棄する必要はないでしょう。
ここで重要なのが記録です。
具体的には、
- 検収記録簿(品温など)
- 一般衛生管理チェック表(冷蔵庫の温度など)
- 加熱・保管の温度管理表
- 検食表
等の書類が必要です。
このような記録簿は、様々な項目を盛る込む必要があるため、実は、作成自体に時間と労力がかかります。そのため、給食管理ソフトわんぱくランチでは、その日の献立を反映した記録簿を自動で出力できるようになっています。そして、記録簿の項目は、変更可能。園の実情に合わせて、独自の記録簿(計画書)を作成し、記録をつけることができます。
このように、記録簿(計画)に沿って実行した記録があれば、賞味期限内の未開封の残った牛乳を廃棄せず、活用できます。
ただし、保育園では冬に牛乳をパックごと温めることがありますが、牛乳の保存温度は10度以下。一度温めた牛乳はたとえ未開封だとしても、子どもに提供することはできません。
■冷凍品について
冷凍品は、必要な分だけ解凍して使用できるため、管理が簡単に思えますが、実際には大きなリスクが潜んでいます。たとえ、下記のような管理を徹底したとしても、冷凍品は、私たちの目に見えないところで、品質が劣化している可能性があります。
- 冷凍車での納品
- 検収で品温などの確認(記録)
- 5Sの徹底(記録)
- 冷凍庫の温度の確認(記録)
- 賞味期限の確認(記録)
冷凍の魚などでは、解凍と冷凍が繰り返されることで劣化して、ヒスタミン食中毒が起こることがあります。
これを防ぐために、保健所は冷凍品についても、必要分だけを購入して使い切ることを推奨しています。再冷凍は絶対にNG。未解凍の冷凍食品については、期日を設けて厳重に管理する必要があります。
■まとめ
今回は、常温保存が可能な菓子、冷蔵保存が必要な牛乳、冷凍食品の在庫品に保管のポイントをまとめました。
衛生管理では、どこに危険が潜んでいるかを自分たちで分析し、どんな管理をするのかを決めて、実行し、記録をとることが大切です。
計画を立てずに、保健所に聞けば、必ず「当日納品・当日消費」と言われます。これは、最も安全な管理方法だからです。
子どもの食事研究所の管轄の保健所からは、「当日に使わずに保管することは、リスクがあることを理解した上で、保管するのか!捨てるのかを園で決めてください。」と言われました。
保育園では、コスト管理も大切です。衛生管理が高ければ、効率よく食品を活用することも可能です。現場では給食担当者の健康管理、施設設備の衛生も含めて、常に広い視野で、「菌をつけない」「菌をふやさない」「菌をやっつける」ための衛生管理(計画→実行→記録・確認)が求められています。
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