おうちのように、
心を、すくすく育てる。

Vol.2 吉浜さんさん保育園

USER NAME吉浜さんさん保育園

食育に必要なものとは?
その一つの答えが、ここに。

理想的な「食育」を進めるためには、いったい何が必要なのでしょうか。運営方針をはじめ、施設や行事…、大切なものがいろいろと考えられます。
今回ご紹介する「吉浜さんさん保育園」では、園の運営方針はもちろん、施設や子どもたちへの想い、どれをとっても食育にとって理想的な環境です。実のところ吉浜さんさん保育園は、まだ開園から1年目。開園前からご縁があり、今日までの取り組みを見てきました。そして、その素晴らしい姿勢をニュースレターにてご紹介させていただきたく、アドムのスタッフとともに取材のために訪問させていただきました。

吉浜さんさん保育園 園内

いつでも調理する姿が見られる、ガラス張りの調理室

訪問したのは…

施設名

株式会社 吉浜人形 吉浜さんさん保育園

所在地

愛知県高浜市屋敷町1-6-6

URL

http://www.yoshihama.co.jp/sansanhoikuen/

紹介

平成26年4月に開園した、( 株) 吉浜人形が運営する保育園です。年齢が異なる子同士が兄弟のように関わりあう環境づくりを推進。また保育士は、子どもの心に寄り添い、あるがままに子どもの姿を受け入れています。

いつも身近だから、
「食」への関心が高まる。

では、吉浜さんさん保育園が、「食育」にとって、どのようにいい環境なのでしょうか。順を追ってご紹介しましょう。
はじめにご紹介するのは、給食に欠かせない調理室。ここは園児たちが給食をとるメインフロアに隣接しています。しかも、大きなガラス窓が設けられているので、厨房で調理している姿が間近に見ることができます。もくもく湯気の立つ料理の中、栄養士さんや調理師さんが一所懸命に調理する姿が、当たり前のようにみられる。しかも、どんな食材がどのように調理されていくのかも見られます。こうした光景が当たり前のように見られることは、自然な流れで食への関心を誘うことができるはず。とてもすばらしい環境ではないでしょうか。
実はこの調理室の左隣りには、野菜などを切ったりする下処理室、右隣には洗浄室が設けられています。下処理、調理、洗浄、それぞれ部屋を分離。食中毒対策としては理想的なつくりになっています。また野菜や食器の洗浄には、安定した洗浄を確保するために電解水を利用。さらに園児たちのエプロンは、すべてこの保育園が用意しているそうです。これは、ママたちの負担を少しでも減らしたいため。しかも、園としても衛生管理が徹底できるメリットもあります。確かな食育活動は、こうした徹底した衛生管理のうえに成り立っているのです。

厨房で調理している姿が間近に見ることができる

調理室の左隣にある下処理室

園児たちのエプロン

みんなでいっしょに食べる。
だから、食育につながる。

食育に関して、先に施設面についてご紹介てしまいましたが、実はこれらは「吉浜さんさん保育園」の魅力のごく一部にしかすぎません。この保育園の本当のすばらしさは、食育を培う保育園そのものの姿勢にあります。たとえば、吉浜さんさん保育園では「園児みんなで一緒にごはんを食べる」ことを計画しているそうです。ふつうなら、園児の年齢別にクラスわけをして、それぞれ別な部屋にて給食をとるところです。
一方、吉浜さんさん保育園では、すべての園児が同じフロアにて、いっしょに食事をとる予定。しかも、栄養士さん、調理士さんもいっしょに食事をするそうです! ( 現在は、開園して1年なので、2歳児までしかいません。みんなそろってホールで食事するのは、来年度以降、園児が増えてから実施予定) こうした給食のスタイルは、他の保育園では見ることがありません。やはり、園児さんが多くなればなるほど、どうしても配膳などの効率が悪くなります。ふつうに考えれば、できれば避けたいでしょう。
ではなぜ、吉浜さんさん保育園ではそうしないのでしょうか。その疑問を解くカギは、吉浜さんさん保育園の運営コンセプトにありました。

大きなメインフロア。ここで園児みんなで一緒に給食をとる予定

メインフロアに隣接している調理室

大切なのは、基本となる考え方。

吉浜さんさん保育園 運営コンセプト

「子どもたちが安心してすごせるおうち」

「まちが子どもたちを育てる

吉浜さんさん保育園は、「おうち」の延長のような保育園をめざしているとのこと。ここでは保育士は親と同じように温かく見守り、子どもたちはおうちと同じように安心してくつろいで過ごします。だから先にも書いた「園児がみんなで、一斉に食卓を囲んでとる食事」も、おうちのことなのです。食育にとって大切なのは、いろんな食材、いろんな味に触れること。さらに、その食材が、誰の手によって、どのようにつくられているのかを知ることで食への関心を高めることもできます。それが吉浜さんさん保育園では、つくった人もおうちのように、心を、すくすく育てる。吉浜さんさん保育園いっしょに食べようとしているのです。
このスタイルは、お母さんが料理する姿を見て、いっしょに食卓をともにする…。まさに「おうち」です。吉浜さんさん保育園では、コンセプトとして大きく「食育」とかかげてはいません。しかし、こうした「おうちのように過ごす」という考え方から、自然な流れで食育へとつながっています。しかも、毎日当たり前のように、ずっと続けている。食育にとって、理想的な環境といえましょう。

間違いのなようチェックしています

おやつ管理表

アレルギーの子も、
我が子のように受け入れる。

「おうち」のように、子どもたちを温かく迎え入れる吉浜さんさん保育園。そうなると気になるのが、アレルギーの子の受け入れです。これはどの保育園としても、避けては通れない現実的な課題でしょう。場合によっては、アレルギーの子の受け入れを制限することも考えられます。吉浜さんさん保育園では、この課題に対しても、「おうち」としてのスタンスを貫いています。開園1年前から、どのようにアレルギーの子を受け入れたらいいのか、とことん勉強されたそうです。しかもアレルギーの子に対応するため、必要と思われる用具なども整えたとも聞きます。
「おうち」として、どんな子ども受け入れる。言葉でいうのは簡単です。それを確実に実現するために、相当の覚悟をもって取り組まれたのは間違いないでしょう。ここまで「おうち」にこだわる背景には、しっかりとした理由があります。実はこの保育園を運営するのは、地元である愛知県高浜市において節句人形の販売を50年余り営む「株式会社 吉浜人形」です。つまり地域に根差した会社だからこそ、地域の子どもたちを「おうち」のように受け入れ、健やかな成長のお手伝いをしたいとの想いがあるのです。だからこそ、徹底した姿勢が保育園にも反映されてるという訳です。

アレルギーのチェックもしっかりと。

株式会社 吉浜人形

初めての管理栄養士。
無我夢中の日々。

そうはいっても、高くかかげたコンセプトも現場レベルに落とし込まないことには意味がありません。やはり重要な役割を担うのが、管理栄養士さんの存在。そこで管理栄養士である澤田さんにお話をうかがってみました。
実は管理栄養士になったのは、この保育園からなんだとか。しかも、開園準備からかかわったそうです。未経験である管理栄養士としての業務だけでなく、まだ存在していない保育園のための準備…。相当な苦労があったのではないでしょうか。そんな当時のことについて尋ねてみました。すると澤田さんから「とにかく右も左もわからなくて…。もう無我夢中でした。」との答えが返ってきました。さらに大変だったのが保育園として、アレルギーの子を受け入れることだったそうです。

まるで母のように、
子どもたちと向き合う。

できることは最善をつくす。そうした姿勢のもとでアレルギー対応について学ぶために、他の保育園を見学したり、勉強会にも積極的に参加されたのだとか。開園してから1年後の今では、現場にも慣れ、気持ちにも余裕がでてきたそうです。「まだまだ勉強が必要ですし、慣れに気をつけようと思っています。」と返事とともに、「子どもたちが美味しいと言ってくれるのがうれしいんです。」と満面の笑みが返ってきました。
保育園の立ち上げから関わり、一つひとつ課題に取り組んできた澤田さん。園児を想い、日々の献立を立て、調理する。栄養士という枠を超えて、「まるで母親のような立場」で園児たちと向き合っていく。これほど園児たちにとって幸せなことはないでしょうか。
現在の受け入れは2歳児までのところですが、来年度から3歳児、再来年には4歳児の受け入れ行く予定です。今後、増えていく園児たちにどのように応えていくかかが課題とのこと。素材を切るサイズはどれくらいがいいのか等、いろいろ思案中のようです。加えて調理場だけでなく、保育士の先生方とも連携をとっていきたいと意欲に満ちています。

開園から導入された、わんぱくランチ。

私たちアドムと吉浜さんさん保育園との出会いは、開園の準備をされているとき、給食のアドバイスをさせていただいたご縁からです。そのときちょうど新しい給食ソフトを探されていたタイミングでしたので、わんぱくランチの使い勝手などを私からご説明。何社かご検討された中で、わんぱくランチの備えるさまざまな機能などに高いご評価をいただきました。
その結果、「コストパフォーマンスが高い!」との感想とともに導入していただくことになったのです。質の高いサービスを提供するために、あらゆる設備に対して厳しい目で選ばれてこられた吉浜さんさん保育園。その御眼鏡にかなったことは、大変光栄ことだと実感しています。
また正式導入に際して、運営会社である吉浜人形の神谷社長から、つぎのようなお言葉をいただきました。「弊社の澤田が、わんぱくランチを使いこなすことは問題ないでしょう。それよりも園の立ち上げ時には、澤田が困ったら助けてあげてほしい。」もちろんアドムとして全力でサポートさせていただきました。

わんぱくランチの使い勝手を説明

早く慣れたのは、見やすくて、
操作しやすいから。

こうした経緯で導入となったわんぱくランチ。当初の印象はどうだったのでしょうか。澤田さんにうかがってみました。
「給食ソフトそのものを触ったのが初めての経験。どのように操作したらいいのか、正直、戸惑いもありました。でも、画面が見やすく、操作もしやすい。しかも使用説明書が、写真付きの解説でわかりやすい。おかげで、すぐに慣れました。」これに加えて澤田さんは、アドムのサポートを積極的にご利用いただいたそうです。

管理栄養士の澤田さん

わんぱくランチの献立に、
助けられています。

つぎに現在の使用状況を聞いてみました。
「わんぱくランチは、一度入力すれば、いろんな帳票類に反映されてとても便利。ソフトに慣れてからは、それを強く実感します。だいぶ慣れた今では、メインの献立を立ててから、離乳食に反映しています。これらの作業がスムーズにできるのもいいですね。」
多忙な管理栄養士さんにとって、時間は貴重です。入力作業などに手間をかけず、本来すべき献立作成に時間をかけられるようになったのだとか。さらに、こんなうれしい声もいただきました。
「わんぱくランチにある献立が、すごく助かっています。品目の多彩さ、栄養バランスなどもよく考えられているうえに、なんとってもおいしいのがいいですね!」
質の高い給食を提供するために、わんぱくランチがお役に立っているとのこと。これは私たちにとって、この上もない喜びです。

最後に。

まるで「おうち」のように、みんながいっしょになって家族のように食べることをめざす。今回の吉浜さんさん保育園の取り組みは、食育の理想的なスタイルの一つといえましょう。今後は給食ソフトの支援だけでなく、給食活動にお役に立てるよう、末長くサポートできればと思っています。今回、多忙にも関わらず出迎えていただいた神谷社長をはじめ、ご対応いただいた管理栄養士の澤田さんやスタッフの皆様、貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。 

TOPICS

体も心も、のびのびと。
安らぎを感じる環境って大切です

乳幼児期の子どもには、情緒や精神的な安定が最も大切だと考える吉浜さんさん保育園。そのため子どもたちは穏やかで安らぎを感じる環境を提供されています。ここで紹介するのは、その一部。ここで過ごす緩やかな時間の中で、五感で感じながら創造性豊かに成長していくことでしょう。

  • 園庭は芝生

    吉浜さんさん保育園は家庭と同じ“はだし”で生活。園庭には芝生が敷き詰められけがの防止にも役立ちます。

  • 隙間のある塀

    園児たちの好奇心をさえぎることのないよう、適度に外が見えるよう板を間引いています。

  • 開放感あふれる空間

    子どもたちが伸びやかに過ごせるよう、天井を高くし、ガラス窓を採用しています。

  • 日時計

    敷地内グラウンドに設置の日時計。ちょっとした遊び心も忘れません。

  • 落書きボード

    気兼ねなく自由にお絵かきできるよう、大きなボードを設置しています。

  • 安心の工夫

    園児がドアに手を挟まないための隙間。こうした気配りがあるから安心です。

  • オムツは園で処分

    オムツダスターです。ここからオムツを処理するので、園内には残さないので衛生的です。

  • うれしい気配り

    園で使うお昼寝布団、エプロン、おしぼりは全て園が用意。

RECIPE

鶏めし

材料(6人分)

  • 240g
  • 鶏もも肉120g
  • 油揚げ12g
  • 12g
  • しょうゆ27g
  • みりん18g
  • 砂糖12g

作り方

  1. 米は普通に炊く。
  2. 鶏肉は一口大に切り、油揚げは少し大きめの千切りにする。
  3. 鍋に鶏肉と油揚げを入れて炒め、調味料を入れて煮る。
  4. 汁気がなくなったら火からおろし、(1)のごはんと混ぜる。

和風やさい蒸しパン

材料(6人分)

  • こまつな90g
  • こめ粉72g
  • ベーキングパウダー4.2g
  • 豆乳36g
  • 砂糖12g
  • 12g
  • ひとつまみ
  • 甘納豆30g

作り方

  1. こまつなは蒸して(または茹でて)水にとり、水気を絞ってからミキサーにかける。
  2. ボールに(1)と、上新粉、BP、豆乳、砂糖、油、塩を入れてよく混ぜ、最後に甘納豆を加える。
  3. 型にオーブンシートなどを敷き、生地を流して、100℃で13分蒸す。
  4. 冷めてから切り分ける。
アドムからのお礼&感想

鶏めしは、吉浜さんさん保育園様がある愛知県三河地方の高浜市の郷土料理のひとつで、園では2か月に1度、19日(食育の日)にメニューに取り入れていらっしゃるそうです。養鶏がさかんだったこの地方と、三河地方の醸造文化が相まって、この料理の味付けになっているのではないかと思います。味のついたご飯は、皆様の園の子どもたちにも人気があると思いますが、この鶏めしは鶏の旨みとしょうゆに甘みのある味付けで、地方を問わず、子どもたちの大好きな味ではないでしょうか。ご飯に具材を混ぜる作り方ですので、鶏肉と油揚げを煮る際、調味液はしっかり具材に煮含めます。また、ご飯と具材を混ぜる際は温度管理に気を付けましょう。そして、今回一緒に提供されている料理として、弊社料理レシピの「和風やさい蒸しパン」を取り上げてくださいました。この料理は小松菜のペーストを米粉ベースの生地に混ぜ込み蒸し上げる、乳・卵・小麦を使わないおやつのレシピです。「子どもたちに好評でした!」とおっしゃっていただき、ただただ嬉しいばかりです。小松菜はほうれん草の約3倍のカルシウムが含まれている野菜で、おやつの中にうまく取り入れられないかと考え、このケーキになりました。ぜひ皆様もお試しくださいませ。管理栄養士の澤田先生、素敵な料理をご紹介いただき、ありがとうございました。

NOTE編集後記

今回の「吉浜さんさん保育園」特集はいかがでしたか。実は開園してしばらくして、運営会社の神谷社長とお話をする機会がありました。そのとき印象的だったのが、「子どもたちみんなに、大変喜んでいただいているんですよ!」とのお言葉です。初めての保育園の運営、しかもアレルギーの子も「おうちのように受け入れる」ことは試行錯誤の連続だったことでしょう。しかし、神谷社長から出たこのお言葉は、間違いなく想いがカタチにできている証拠。私も自分のことのように、うれしくて仕方がありません。本当に吉浜さんさん保育園のようなステキな保育園とのご縁ができて、心より感謝です。今後もこうした出逢いがもっと広がればいいな、と期待に胸をふくらませる毎日です。

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