保育園では、保護者から「何歳から生ものが食べられますか?」と聞かれることあります。
このように聞かれると、
- 消化吸収
- 咀嚼・嚥下
など、いろいろ思い浮かんで、回答に迷ってしまうようですが、一番大切なのは、「安全」です。
抵抗力が低い乳幼児期は、食中毒を起こすと重篤化し命を脅かすことになりかねません。しっかり加熱して食中毒菌をやっつけることの大切さを伝える必要があります。
子どもたちは、「回転すし」に行くことがあるようですが、すし店では非加熱の生ものを扱うため、2次汚染が起きやすい調理環境があるせいか、度々食中毒が報じられています。
今回は、子どもたちにも人気がある「回転すしチェーン店」で発生した食中毒についてお伝えします。(2021年8月30日発表)
■「回転すし」での食中毒の概要
2021年8月20日から22日にかけて食事をした8グループ24名から下痢・嘔吐・発熱などの症状が確認されました。
原因はノロウイルス。従業員6名の便からノロウイルスが検出されたとのことです。この期間中の客数は、イートイン2576名、テイクアウト383組あり、そのうち8組24名が発症しました。
発症者の喫食メニューは、握り寿司、軍艦巻き、巻物、揚げもの、ラーメン、うどん、味噌汁、デザートです。
この事件については、すしチェーン店から下記の通りお詫び文が出され、再発防止に向けての対策が示されています。
(1) 当社の従業員に対する食材保管時および調理時の衛生管理の再徹底
(2) 当社の従業員の健康管理チェックの再徹底
(3) 上記を含めた衛生管理マニュアルの遵守徹底
https://www.akindo-sushiro.co.jp/news/detail.php?id=2429
回転すしにおける食中毒については、2019年4月14日に神奈川県でも発生しており、その事例では、こはだやマグロ、ホタルイカなどの握り寿司などを食べた13人のうち7人が食中毒を訴えて、医療機関を受診しています。
■健康被害のリスクを知ることの大切さ
加熱殺菌をしない「生もの」は食中毒のリスクが高くなります。さらに、非加熱品の生ものを扱う場合、飲食店だけでなく家庭においても2次汚染のリスクがあります。
ご存じの通り、多くの食中毒菌は、加熱によって死滅します。75度・1分間、ノロウイルス汚染のある食品の場合でも85度~90度で90秒以上で、菌をおおよそ死滅させることができます。加熱によって、菌を死滅させれば、2次汚染のリスクも低くなるため、安全性が高くなります。
- 安全のためには、
- 清潔に保つ
- 生の食品と加熱済食品をしっかり分ける
- よく加熱する
- 安全な温度に保つ
- 同じものを一度にたくさん食べない
といったことに注意する必要があります。
保護者から「何歳から生ものが食べられますか?」と聞かれた時には「食材そのものが持っている菌は目にみえるものではないので、幼児期は避けた方がよいでしょうね。」と答えてあげるとよいと思います。
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