給食では、時々、玉ねぎの臭いが加熱後の料理にも残ってしまうことがあります。
玉ねぎに辛味があるということは甘みが存分に引き出されていないということ。これは料理自体のおいしさにも影響します。玉ねぎは栄養価の高いパワー食品。せっかくの食品が辛味や臭いで食べにくくなってしまうのは避けなければなりません。うまく使うコツはないのでしょうか。
■料理のコツの前に、玉ねぎの臭いの正体について
玉ねぎには、辛味や刺激臭の基となる「硫化アリル」という成分が含まれています。玉ねぎにはもともと甘みが含まれているのですが、硫化アリルの刺激臭と辛味が甘みをマスクしてしまいます。玉ねぎを加熱をすると刺激臭成分が分解、揮発します。さらに加熱により生成されるフラン類の甘い匂いが生まれます。また、水分が蒸発して糖濃度が上昇します。
逆にいえば料理に辛味や臭いが残る理由として2つあります。
1つ目は、大量に他の材料と一緒に煮たり焼いたりするため、加熱状態を玉ねぎだけに合わせることができず、玉ねぎの品質よって辛味が残ることがあること。
2つ目は、薄味にすることで辛味を感じやすくなること。
実際のところ、食事摂取基準の食塩の目標量が下がり、給食でさらなる減塩が求められるようになってからいろいろな料理で玉ねぎの辛味を感じるようになりました。
実は、調理現場のみなさんは、下処理で玉ねぎを切る段階で料理の辛味の強さがわかっています。なぜなら、刺激臭と辛味成分は、同一物質で、涙のもととなる成分も、におい成分のひとつだからです。つまり、刺激臭が強く、切った時に目が痛く涙がでるような玉ねぎは「辛い」ということです。
玉ねぎの辛味を減らす方法はいろいろあります。
例えば・・・
・切ったものを水にさらせば、辛味成分を流失できます。しかし、この場合栄養成分まで流れて失われてしまいます。
・空気にさらすことも効果的ですが、大量調理の場合は、全面を空気に触れさせることはできません。
・酢などで、辛味を軽減させれますが、酸味が残ってしまいます。
■では保育園でおすすめの玉ねぎ辛味対策は?
実は「塩」なんです!!
今日の子どもの研究所の試作は、「豚肉のもち米蒸し」でした。玉ねぎの刺激臭が酷かったので、豚肉に入れる塩0.2gの半量をみじん切りにした玉ねぎに加えました。
もちろん、ハンバーグのように、肉の脂があり、さらに高温で焼けば、塩を加えなくても、加熱がすすみ自然と甘くなります。料理によって、玉ねぎの下処理の塩の使い方を変えるのがポイントですね。
最後に、今日の料理を試食!
今日の玉ねぎは刺激臭が強くとっても辛い玉ねぎでしたが、全く気にならずに食べることができました。