2022年8月6日 10:40 am

「わんぱくランチ農園」では、ナスが毎日たくさん採れています。研究所の近くの保育園でも、子どもたちが園庭で作ったナスを収穫しています。

 

保育園で収穫したナスを使う時には、

  • 簡単に
  • 一度にたくさんの量を
  • 子どもがナスを認識できる形で

調理したいものですね。

 

今回は、園庭で採れたナスを給食にプラスして食べる時に役立つ方法をお伝えします。

 

ナスは油との相性が抜群

 

食品では珍しい濃紫色をしたナスは、組織上、油を吸いやすく、油との味の調和がよい!という特徴があります。

 

ナスの色のアントシアン色素は、熱に不安定で100℃までの加熱では、酸性でもアルカリ性でも変色、退色します。そのため、ナスは油で炒めたり、揚げたりといった高温調理に向います。

 

ナスにはアクとなるクロロゲン酸のポリフェノールが含まれていますが、今の時期(6~8月)のナスは、秋に収穫されるナスと比較して、アクが少なく、空気に触れても変色しにくく、おいしく食べられます。さらに、油と合わせれば、アクを感じにくくなるので、子どもにも食べやすくなります。

 

そして、油は食感にも影響を与えます。子どもは「ナスの皮のキュッキュッとした食感」を嫌がることがありますが、油を使った高温調理は、その点も軽減することができます。

 

とにかく「ナス」は「油」ととっても相性が良い食材です。

 

 

園庭で採れたナスを給食で上手に使うために

 

ここで、保育園でみかけた一コマをご紹介します。

 

場面:週明けに園庭を見ると、ナスが鈴なり。早速、子どもたちと保育士さんが収穫

 

<子どもと保育士さん>

こんなにナスがたくさん採れたよー。

 

<調理担当者>

すごいね~・・・・。

 

<園長先生>

採れたてのナスを給食にプラスして食べさせてあげましょう。

 

<調理担当者>

はい・・・・。(今日はもともと調理が忙しい日なのに!!!!)

 

採れたて新鮮野菜を子どもたちに食べさせてあげたい!という気持ちがあっても、実際の調理作業を考えると、決まった料理に収穫した野菜をプラスすることに、後ろ向きになってしまうこともありますよね。

 

研究所でも、朝からスタッフが農園に行き、予想以上の量を持ち帰った時には、うれしい反面、どうやって食べる?と正直、困惑します。

 

野菜の成長は、思い通りコントロールできるものではないので、大きくなったら、収穫して、調理して食べることになります。あたりまえのことですが、上手に消費するためには、ちょっとした工夫が必要です。

 

ナスを簡単の大量に消費するのにお勧めなのは、ナスと相性がよい油を上手に使って、短時間調理が可能な「スチコン」を活用することです。

 

 

汎用性抜群!ナスの調理

 

この時期(6~8月)のナスは、アクが少ないので、水にさらすことなくそのまま調理ができます。

 

食べやすく切ったナスを鉄板に広げて、油を回しかけて、「コンビモード230℃10分(水蒸気量100%)」で加熱します。※油はなす100gに対して油は5~6g程度。加熱されたナスは、油の効果でえぐみを感じることなく、フルーティーで濃厚な味わいになります。

 

 

このまま、少量の塩を振るだけでもおいしく食べることができますが、しょうゆと砂糖を混ぜた調味料を回しかければ、和風の揚げナスに。(ナス100gにしょうゆ1.5g・砂糖1g程度)

 

また、このナスの上に、調味料を混ぜた肉をのせて「コンビモード170℃12分(水蒸気量100%)」で焼いて混ぜれば、なすと豚肉の煮物のような仕上がりになります。

 

そして、味噌汁に加えれば、「揚げナスのみそ汁」ができます。

 

カレーライスやトマト煮等にトッピングしても、子どもにナスを目で見て意識しながら食べることができます。簡単に、短時間で、おいしく調理できる方法です。びっくりする程、量(かさ)が減るので、その日の献立に合わせて、適宜プラスすることができます。

 

たくさんのナスに触れると、同じナスでも、収穫時期や品種によって火の入り具合、調理時間、味が異なることに気づきます。研究所では、調理の前には「生」で味を確かめてから、なるべく調味料を減らすように努めています。

 

さいごに

 

園の保育活動に合わせて、適宜給食の内容を変えていくことは、園の教育方針、地域に根差した施設づくり、家庭との連携といった大きな目標を考えると、是非とも実現したいことです。ただ、それには知識だけでなく、高度な現場スキルが必要です。

 

以前、京料理の木乃婦の高橋さんから、「給食担当者がスキルアップするために必要なのは、フィールドワーク」というお話を伺いました。野菜が育つ土や、気候に目を向け、食材と向き合い、その経験を活かして調理をし、それを子どもたちに丁寧に伝えることが大切なのだと思います。

 

また、現場では、給食時間に合わせる必要があるので、園の他のスタッフとの連携も欠かせません。そのためには、園の経営方針やそれを実現する優先順位をしっかり共有していることが大切です。

 

子どもの食事研究所では、先日、食農保育に取り組んでいる東京都東村山市の八国山保育園を取材しました。後日、わんぱくランチユーザーには、機関紙を通して具体的な実践内容をお伝えする予定です。研究所では、これからも現場に役立つ実践を積極的にお伝えしていきたいと思っています。

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