2022年8月9日 10:05 am

先日、わんぱくランチユーザーから「魚のフリットの衣がうまくいかずに、魚から外れてしまった!」というお話をいただきました。

魚のフリットは、わんぱくランチの人気メニューのひとつ。改めて試作をしてみました。

■コーングリッツの入った衣

通常、米粉に加えるのは片栗粉や大豆粉です。片栗粉の特徴は、吸水しやすく味を感じないところ。米粉に加えると、適度に片栗粉が吸水するため、ベタベタっとした食感が軽減します。そして、大豆粉の特徴は粉の目が粗い点、香ばしさがあるところです。どちらもお米粉に加えることで歯切れがよくなります。

しかし、今回の「魚のフリット」の衣では片栗粉や大豆粉は使わず、米粉にコーングリッツを加えます。大豆粉よりもさらに目が粗く、吸水しないため、ザクザク感が残り、サクッと仕上がります。

まず、米粉にコーングリッツ、BP、塩に豆乳を加えます。

とても扱いが良い生地です。※分量はわんぱくランチのサンプル料理でご確認ください。
衣の量が多く、魚と合わせるとプタプタした感じになります。

揚げるときにはスプーンで衣をつけながら、魚をすくいながら、油の中に落とします。170度の油で揚げると、サクッと仕上がります。

コーングリッツの黄色で揚げ色もきれいです。コロコロと見た目もかわいく、盛り付けの工夫ができるので、行事食にも最適なメニューです。

 

■衣がはがれてしまった理由

今回、試作をしたところ、上記の写真のように問題なく上手にできてしまったので、再度、保育園の先生に状況を確認させていただきました。

詳細にお話をお伺いすると、、、、、

保育園では、コーングリッツをコーンフレークで砕いたもので代用したとのこと。確かにホームページで「コーングリッツ 代替品」と検索すると、「コーンフレークを細かくすれば、代用できる」と書いてあります。

コーングリッツは、乾燥させてたトウモロコシの胚乳のみを粉砕したもの。米でいうならコーングリッツは「米粉」に当たります。コーングリッツの代替がコンフレークの粉砕でよいなら、米粉の代替がせんべいの粉砕よいことになってしまいます。

保育園で、衣がうまくいかなかった原因は、コーングリッツが入手できなかったため、コーンフレークで代替したことでした。

■食材の購入について

納入業者さんが決まっている給食では、これはよく起こることです。業者さんに頼んで入らないものを給食食材として使えない。というケースです。

度々ご相談いただく内容ですが、以前、私が取材で保育園を訪ねた時に、給食担当者の方とこんなやりとりがありました。

<調理担当者さん>
決まった業者さんからしか買えないから大豆粉が使えない。スーパーにはあるんですが、現金購入はできないんですよ~。

<私>
ネットで購入するのはいかがですか?職員室にアマゾンの箱があったので、購入してもらえるかもしれませんよ。

数日後・・・・・

<調理担当者さん>
園長先生に聞いてみたら、アマゾンでの購入はOKでした!これからは「大豆粉」が使えます!

調理の担当者の方はとっても喜んでいました。特定業者さんとの取引に加えて、ネットで食材が調達できると食材の幅が広がります。ネットの方が、原産地や添加物などにも配慮しながら、自分で選んで購入できるメリットもあります。

子どもにとって、安全でおいしい給食を作るためには、食材調達は重要だなあ。とあらためて感じました。

■さいごに

小麦の代替品として、便利なのは、なんといっても「米粉」です。米粉は、自給率100パーセントの米の粉なので、安全で価格が安定した食材です。

米粉の良さは、自然な甘さとモチモチとした食感ですが、弾力のある生地は、形状によっては誤嚥の危険があったり、また特有の食感を食べ慣れていないことあったりと、保育園では敬遠されることがあります。

子どもの食事研究では、米粉の研究をはじめて8年。安全と食べやすさに配慮しながら、様々な組み合わせと配合で試作を重ねてきました。米粉の品質の違いもあり、難しさを感じながらも、米粉のおやつを中心としたレシピ本「和給食2」を完成させ、たくさんの方に使っていただいています。わんぱくランチユーザーの間では、給食担当者が作り慣れ、子どもたちも食べ慣れて、米粉のおやつが一般化してきています。

米粉は、アレルギーの発症予防だけでなく、日本の食文化の継承にもつながります。今後は、実際に子どもに提供しているメニューをユーザーの皆さんから募集しながら、保育園での米粉の活用が進むように研究を続けていきたいと思っています。

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